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【虚構推理】怪異現象を現実の事象へ落とし込む、サスペンスとホラーを融合した漫画

妖怪の絡んだサスペンスドラマ「虚構推理」

推理漫画と一言で言っても、それに収まらないのが「虚構推理」という漫画です。アニメ化もされた「スパイラル 〜推理の絆〜」という漫画の原案を手掛け、その後「虚構推理 鋼人七瀬」で第12回本格ミステリ大賞を受賞した城平京の小説を片瀬茶柴が作画し漫画化したのがこの「虚構推理」という漫画です。

ただの推理漫画ではないというのも、この作品は推理漫画で言う王道の「被害者を殺したトリックを推理し真犯人を見つける」という展開がなされず、妖怪などが起こした現象を現実の事象に落とし込み真犯人への当てつけで推理を行う、まさに「虚構を推理する」漫画だからです。
ホラーとサスペンスの融合したこの漫画ですが、本来は短編の「鋼人七瀬」だけが展開されていましたがそのトリッキーぶりが大きな話題を呼び、現在は漫画原作としてシリーズが続き、先に漫画として発表された作品が小説として改めて発表されるという方法でシリーズ化されています。
2019年1月にはアニメ化の発表も行われました。

怪異たちの知恵の神「琴子」と人魚とくだんの肉を喰った男「九郎」

物語の主役、いわゆる探偵役となるのは怪異たちに頼まれ「知恵の神」となった岩永琴子という大学生の少女です。11歳の頃に神隠しに遭い、怪異たちとその契約を交わす際に片目と片足を失くすという過去を持っています。
知恵の神というのは、まさに怪異と人間の間で起こるトラブルを解決する存在ということ。時には遠方からはるばる依頼をしてくる怪異的存在である妖怪たちを取りまとめ、次々と起こる怪現象を現実世界の事象へと取り持っていきます。

そんな琴子の助手的存在が九郎という青年です。彼は代々怪異と縁の深い家系の生まれで、「人魚」と「くだん」の肉を食べ生き延びた過去を持っています。
くだんというのは、度々姿を現し予言を残してから寿命が尽きるとされている牛の姿をした妖怪です。予言の的中率は100パーセントだけどその後すぐに死んでしまうという性質から、九郎の先祖は「不死」である人魚の能力と共に取り込めば「百発百中の予言が無限にできる存在」が生まれるのではないかと、代々その妖怪たちの肉を人に喰わせるという実験を行ってきた家系の数少ない生き残りが、まさに九郎という存在なのです。

ただの推理漫画とは言えない、何重にも癖を持った推理漫画である「虚構推理」。一風変わったこの漫画をぜひ一読してみてください。