ここ数年、池井戸潤が原作の小説がメディアを席捲している。
ドラマ化すれば高視聴率間違いなしである。
半沢直樹(小説名:オレたちバブル入行組)
ルーズヴェルトゲーム
下町ロケット
陸王
ようこそ、わが家へ
さっと思い浮かぶだけでもこれだけある。
そして、2019年2月。
ついに映画「七つの会議」が公開された。
大逆転勝利など、スカッとする映画がみたい
野村萬斎が大好き
池井戸潤の小説の大ファン
など、七つの会議を見たい理由は様々だと思う。
やはり野村萬斎はいつどんなことをしていても渋くてカッコイイ。
狂言師であることも影響しているだろうが、独特な雰囲気や演技は唯一無二といっていい。
池井戸潤作品の胸が熱くなる展開も実に素晴らしい。
だが今回紹介したいのは、「サラリーマン・会社組織」に焦点をあてた物語であることだ。
会社組織に疲弊したサラリーマンの方々、特にアラフォー世代は必見ではないだろうか。
私が映画を見たときは50代や60代の方が多い印象だったが、見るべきは40代サラリーマンであろう。
目次
「七つの会議」はどんな映画なのか?
簡単にどんな映画か説明する。
2019年2月1日に公開開始された映画で、
池井戸潤原作・野村萬斎主演で「正義を、語れ」というキャッチコピーがふさわしい映画である。
働くことの正義とは何かを問われる作品である。
野村萬斎が演じるのはいわゆるダメ社員だ。
そのダメ社員が“しょうもないこと”でパワハラを理由にトップセールスマンを異動させるところから物語が大きく動き出す。
なぜ“しょうもないこと”でダメ社員がトップセールスマンをパワハラで異動させることができたのか。
伏線がいくつも張り巡らされ、それがラストの怒涛の展開ですべてが結びついていく。
物語が進むにつれて問われる「働くことの正義」とはなにか。
野村萬斎と香川照之が過去に選択した判断はサラリーマンであれば似たような経験があるはずで、思わず感情移入してしまうだろう。
そして、最後に野村萬斎と香川照之が決断した「正義」とはなにか。
ぜひ劇場でみる価値がある、骨太な作品だ。
映画「七つの会議」3つの見どころ
正義とは何か考えさせられる
映画のキャッチコピーになっている通り、正義が何かを問う作品だ。
会社組織に染まった人間の正義と一般社会の正義は同じなのか、それとも違うのか。
会社組織内で正しいことであれば、正義なのか。
とても考えさせられる。
映画の観覧者という立場であれば、「いやいやそれはやっちゃダメでしょ!」と突っ込む役柄やシーンがたくさんあるはずだ。
だが、いざ自分が実社会でその役柄と同じ境遇となったときに、同じことが言えるだろうか。
なかなか難しいシーンもあると感じる。
なぜそうなってしまうのかをとても巧みに表現して、時に楽しませてくれ、時にハラハラさせてくれ、そして考えさせてくれる、思わず見終わってからうなってしまうような作品なのである。
豪華俳優陣の中で際立った、役者「藤森慎吾」
お笑い芸人・オリエンタルラジオ藤森慎吾を知らない方も中には存在するかもしれない。
特に年配の方であれば知らない方も多いだろう。
そういった方は心配ない。
映画を見ていても芸人さんだと感じずに、良い俳優さんだな、と思うはずだ。
一方で、多くの方は藤森慎吾を知っているはずだ。
お笑い芸人として、チャラい芸風などで一世を風靡した。
このイメージがあると、正直映画では邪魔なのではないかと思う方もいるだろう。
私もその一人だった。
しかし、その予想はいい意味で裏切られる。
藤森慎吾の演技が良いのである。とても。
野村萬斎と演じるシーンでも全然気にならない、いやむしろ、作品に没頭させる、引き込ませる演技をするのだ。
藤森慎吾を敬遠して見ないという方は少数派だとは思うが、少しでも気になっていた方がいるならそれは杞憂だ。
完全に心配しなくていい。
藤森慎吾の役どころは、経理部課長代理。
野村萬斎などが所属する営業部とは敵対している。
よくある話だろうが、敵対しているがゆえに営業部の足を引っ張ろうとする。
藤森は、部署間の争いに勝つため、上司に命令され仕方なく残業する。
その姿は、かつて誰もが経験したであろう若手時代と重なる人は多いはずだ。
また、「あー、やっぱり藤森だったんだ」と思うシーンもある。
これはぜひ劇場で見てもらいたい。
サラリーマンなら共感するシーンが満載
本作は誰もが上司や部下、顧客や親会社などに悩まされている。
とても複雑な会社組織を、面白おかしく丁寧に描かれている。
映画にでてくる役柄の中に、必ずあなたが共感してしまう、“かつての自分”や“今の自分”が存在している。
そのシーンを見て、あのときの判断は間違っていなかった、もっとこうすればよかった、これからはこうしよう!と思える。
最後まで見れば、きっと次の日から前向きに仕事に取り組むことができる。
そんなシーンが盛りだくさんである。
中心人物がアラフォー・アラフィフのため、おすすめしているのはその年代の方になる。
それでも、その年代以外でも十分に楽しめる作品になっている。
【微妙にネタバレ】印象に残った3つの名台詞
最後に印象に残った名台詞を書いておく。
この名台詞だけでは何も意味はないが、映画を見終わった後にどれか一つは印象に残っているはずだ。
組織の犬だな
この会議に議事録は存在しない
不正はなくならない
私は3つ目の「不正はなくならない」がとても刺さった。
このシーンは何度見ても痛快である。
最後に
長々と偉そうに感想を書かせてもらった。
私はアラサーなので、私が思うメインターゲットではない。
それでも十分に楽しめた。
野村萬斎さんや池井戸潤さん原作の作品が大好きであることはもちろんだが、物語がとても面白かった。
最後の落としどころも良かった。
原作の小説も読みたいと思える、素晴らしい作品だったととても満足している。
ここまで読んでくださった方には、ぜひ劇場で映画を見てもらい、私と同じく満足してもらえたら幸いである。