百合の王道といえば「学生百合」と言われていました。
思春期の少女たちの心のふれあいを楽しむのが、百合というジャンルであります。
しかし、この頃、激増している「社会人百合」には、それを超えるポテンシャルを秘めております!
社会人百合とは、文字通り「社会人になった女性同士の百合」や「社会人になっているべき年齢の女性(=大人の女性)」が主人公です。
大人の女性は、それぞれが選んできた道によって様々な色気が出てきます。その結果、画面には麗しいお姉さんが多く登場することに!
なにも若いだけが女性の魅力じゃありません。包容力に溢れているお姉さんにたくさん会えるんですよ。
いわゆる「大人の魅力」を十分に味あわせてくれるのが、社会人百合の醍醐味です。
おすすめの『社会人百合漫画10選』を紹介します。
1.定時にあがれたら
2.終電で帰さない、たった1つの方法
3.ヒーローさんと元女幹部
4.同居人が不安定でして
5.モデルちゃんと地味マネさん
6.アフターアワーズ
7.明るい記憶喪失
8.同棲生活
9.親がうるさいので後輩と偽装結婚をした
10.Still Sick
目次
1.定時にあがれたら
『定時にあがれたら』は、私の社会人百合のストライクゾーンど真ん中をついてきた作品です。
「社会人百合って何?」と言われたら、私はこの作品をまず読むようにオススメします!
というのも、このお話、社会人百合の魅力をぎゅっと凝縮した作品になっているからなんです。
社会人といえば「会社員」。百合といえば「女性」。
つまり、社会人百合をもっともスタンダードに表したものは「OL百合」ですよ!
会社で働くOLさんにも様々な人がいるのが、たまりませんね。
こんなにも社会人百合が増えてきているなら、なぜ「OL百合」が増えないか……謎です。
私達が想像しやすい上に共感しやすい「OL百合」を提供してくれるのが『定時にあがれたら』です。
主人公である湯川は、会社でずっと気になっている人がいました。すごく美人で、バニラの良い香りがする女性です。
部署も違うため、たまに会社の廊下ですれ違うくらいしか接点はありませんでした。
この匂いでいるなとわかって、探す仕草がたまらなくキュンキュンします!
ある日、湯川が彼女の鍵を会社の廊下で拾ったことで、一緒にご飯を食べに行くようになります。
友達のように話すようになった彼女、水城はストレートの長い髪の毛が綺麗な女性でした。
知り合いから友達へと距離を縮めた二人が、さらに距離を縮めていく様子は必見です!
OLさんならば、会社で見知らぬ社員さんとすれ違うことも多いハズ。
それでも中々知り合いになる機会って大人になると作れません。二人が距離を縮めていく様子は、大人なのに青春の匂いさえ感じます。
主人公である湯川自身も、可愛らしい大人の女性として描かれていて、少女漫画のような萌え具合を見せてくれます。
学生百合とは違い、距離をどうやって詰めたら良いか悩むんですよねー。学生時代は普通にできていたことが出来なくなる所にも共感できます。
大人になるとスムーズに連絡先を聞くのって難しい。湯川も言ってますが「大人に傷つく元気はない」んですよ。
断られたらと思うと二の足を踏んでしまう部分なんて、自分を見ているようでした。
そんな距離を乗り越え、進み始めた二人がどうなるか、これからも期待できるお話です。二人の視点からお互いを見れるので、どっちにも共感しながら話を楽しめます。
まだ1巻しか出ていないのがもどかしい!
2.終電で帰さない、たった1つの方法
pixivに投稿していた時から大好きなトクヲツム先生の『終電で帰さない、たった1つの方法』を紹介させていただきます。
先輩後輩関係の社会人百合好きならば、聞いたことはある一冊ですよね。
カッコ良すぎる派手顔美人な先輩と、女子力の高い後輩の百合に萌えないわけがありません。
単行本として2冊発売されています。またpixivにも載っていない作品が多くあり、一日中楽しめてしまう社会人百合です。
この『終電で帰さない、たった1つの方法』の何が良いって、最初は葛藤から始まっているところ!
主人公は瀬川彩夏(先輩)と森戸菜々子(後輩)の二人なんですが、先輩はノンケ(男としか付き合ったことがない人)です。
百合漫画なのに、まさかの人物が主人公になってしまいました。後輩から告白されて戸惑う先輩が新鮮にさえ感じられます。
「付き合ってください」と告白されて「どっちも女の子なのに?」と疑問を抱ける先輩が、ノンケ過ぎて辛い。
ああ、このまま切ない方向にいく百合漫画なのか……と思った人、安心してください。
『終電で帰さない、たった1つの方法』は、これ以上無いほどイチャイチャする、百合の尊みに溢れた作品です!
後輩に告白されて戸惑っていたはずの先輩ですが、それは最初だけ。非常に甘い恋人生活を見せてくれます。
ノンケとして行きてきた先輩は、同性同士で付き合う難しさを実感してません。逆に後輩はずっと女の子として付き合ったこと無い人間です。ちょとしたこと(幸せなこと)でさえ、悲しみスイッチが入る場合が。
甘さとのギャップがボディーブローのように効いてきます。
告白シーンから始まってはいますが、短編連作形式なので、先輩後輩のシーンも多く、社会人として長い時期を楽しめますよー。
特にお気に入りのシーンは、先輩後輩だった時点で一緒に買物に行った話!
同じブランドが好きだった二人は、セールの日に買い出しにでかけます。
その帰り道、二人は同じ電車で帰るのですが、運悪く満員電車になっていました。
人に詰め込まれるように電車に入った二人はお互いにドキドキします。
先輩は、後輩が見せる女子力の高い仕草にときめいて、つい彼氏のように振る舞ってしまいます。
後輩は、昔の癖で恋人にやるように先輩に甘えてしまい、引かれていないか心配になってしまいます。
この二人、お互い意識しすぎて、ときめいているんですよ!
二人の視点から描いてあるので、どちらに感情移入しても楽しめます。こういう場面がたくさんあって、キュンキュンすること間違いないお話です。
3.ヒーローさんと元女幹部
社会人だからって、誰もが普通の職業を選ぶわけではありません。
社会人にも色々あります。日常では想像できない職業もあるわけです。
特撮と社会人百合をかけ合わせた『ヒーローさんと元女幹部』は、まさしくそういう作品なんです。
主人公側に敵の幹部が寝返る展開って王道ですよね。ゲームや漫画でちょくちょく見られます。
敵だったはずの相手が仲間になってくれるんですから、熱いストーリーとセットになっていることが多いです。
その理由として「なんで悪の組織に入ったのか」「どういう理由で悪に手を染めたのか」などキャラクターを深く理解できるからというのがあります。
そのため、魅力的な話が多いです。もちろん、私もそういう展開が大好きです!
この『ヒーローさんと元女幹部』は、悪の組織の幹部「ハニィ・トラップ」がヒーローである「ラビット・ラビット」を追い詰めるところから話が始まります。
予想を裏切る展開にドキドキしますね。最初からクライマックスとはこのことです。
簡単にヒーローを追い詰めたハニィは、倒したヒーローの正体を確認しようと顔を見ます。すると、そこにいたのは「めっちゃ好みの顔」でした。
一瞬で恋に落ちたハニィはラビット・ラビットを殺すことができず、逃げてしまいます。
・
・
・
ええ、「顔」ですよ、「顔」。
特に生き別れた姉妹だったわけでもなく、因縁の相手だったわけでもなく、ただ「好みの顔」だったから!
こんな展開で寝返る幹部がいたでしょうか。一目惚れしてしまった人と一緒にいたいという思いは十分わかりますけどね。
失敗したハニィに悪の組織は容赦ありません。追放を言い渡し、刺客まで放ってくる始末。
怪我をしてしまったハニィは命からが逃げ、倒れているところをラビットに拾われます。
こうなると、もう恋は止まりません。
ヒーローであるラビットは、ヒーローらしく清い心を持っています。
それが悪に染まったハニィには、たまらなく輝いて見えるのでしょう。
シリアスに見せかけて、非常に笑わせてくれる甘い百合作品。
息抜きに読むには最適の一冊ですよ!
4.同居人が不安定でして
社会人とは疲れるものです。
仕事に精を出しても、上司に怒られ、同期に笑われ、後輩に失望される。何をしてもうまくいかない。そんな日が誰もが一度はあると思います。
しかし、そんなことを気にしていては生きていられません。悪いことや、良いことや、すっごく悪いことが次々に降ってくる世の中ですから。世知辛いものです。
それでも、日常でふっと気を抜きたいときってありますよね。
そんな時にオススメな社会人百合作品が『同居人が不安定でして』になります!
社会人として会社勤めをしながら同人誌を描いている「しっかりさん」と、彼女と一緒に暮らしているイラストレーターの「不安定さん」が主人公です。
対照的な性格の二人が対照的な職業をしつつ、なんやかんや同居生活を送るお話になっています。
短編連作形式なので、どこから読んでも面白いです。一話だけサクッと読みたいときに便利ですよね。
基本的にイラストレーターとして働く不安定さんを、しっかりもののしっかりさんが支えて生活をしています。
オタク気質な私としては、イラストレーターとして働きながらも、ソシャゲやSNSで時間を使ってしまう不安定さんに大共感!
忙しい時こそ、別なことに気を取られてしまうのはよくあることです。
そして締切に追い込まれて無茶をする。そういう生活を不安定さんは繰り返しています。
逆説的に言えば、そういう不規則な生活をしているからこそ、不安定になりやすいんですよね。それを理解しているしっかりさんは、不安定さんを支えるために尽力します。
会社で働いている間もSNSをしていないかチェックしたり、不安定さんのためにタイムスケジュールを組んだりしています。
作られたタイムスケジュールも、健康維持と仕事を考えたものです。ここまでしてくれる人は親でも中々いないでしょう。
それをただ同居しているだけの人間がしてくれるんですよ。どれだけしっかりさんは優しくて面倒見が良い人間なのでしょうか!
作中で不安定さんも言っていますが、その姿はまさしく「彼女みたい」!
友達以上恋人未満とは言いますが、その関係性を社会人で表すと『同居人が不安定でして』になるのかもしれません。
たまに不安定さんがしっかりさんの力になる時もあったりして、どっちに共感しても百合みに溢れた作品です。
5.モデルちゃんと地味マネさん
『モデルちゃんと地味マネさん』は、タイトル通り超絶美人なモデル「ユリア」と彼女のマネージャーである「岡部」のお話です。
やはり社会人百合にも、芸能界の波が来ております。百合と芸能界をかけ合わせた作品には名作が多いです。
百合作品では、ただでさえ画面が美麗になりやすいのに、舞台が芸能界ならその麗しさは何百倍にも感じられます。
特にこの作品で推したいのは、ユリアのギャップです。
誰に対してもクールなユリアがマネージャーである岡部にだけは甘えん坊になるのが本当にかわいい!
単行本としては1巻のみ発売されています。その後も、連載が着々と進んでいますよ。
毎回、ユリアが岡部の気を引くために頑張るところを見られます。最初は意識してなかった岡部もちょっとずつユリアを意識しているのが、また尊みを上げます。
『モデルちゃんと地味マネさん』は上でも書いたように、モデルであるユリアとマネージャーの日常を綴った漫画になります。
しかし、ただの日常漫画だと思うなかれ!
なにせ、ユリアは近寄りがたいほどクールで美人なモデルさんです。その仕事が描かれているんですから、世界も華やかなもの中心に。
雑誌の撮影だったり、グラビアの撮影だったりを美しくこなすユリアさんは見ているだけで癒やされます。
自然に紙面を占めるのは、芸能界を生きている人間(モデル・メイクさん・事務所社長などなど)になるので、見ているだけで目が嬉しくなる作品になってます。
その上、ユリアはマネージャーの岡部に首ったけ(古)
岡部に褒めてもらいたくて、ちょっとくらいの無理なら平気でします。「仕事を頑張ったら、褒めて欲しい」なんて照れながら言われたら、可愛すぎてこっちが照れてしまいます。
傍から見てマネージャー一筋のユリアに、まったく気づかない天然で鈍感な岡部の行動にもやもやしてしまうでしょう。
しかし、それも少しの我慢です。ユリアの思いに比べればまだまだですが、岡部が彼女を意識する場面も大分増えてきました。
岡部以外に対するツンツンユリアと、岡部の前のデレデレユリアのギャップは尊いの一言です。
百合分をぎゅっと補充したいときはおすすめの社会人百合になっています!
6.アフターアワーズ
社会人と学生の一番の違いは、やはり夜の時間。
学生であれば帰らなければならない時間でも、大人になれば無問題です。まるで無限に広がっているようにさえ感じます。
お酒に、クラブに、音楽にと夜の楽しさを百合に落とし込んだ世界観は、思っているよりも爽やかです!
きっと全力で好きなことをしている大人の描写に、心が浄化されるからでしょう。
社会人百合の楽しみって、こういうところに凝縮されてます。
『アフターアワーズ』は、学生百合では絶対に触れない世界に踏み込んでいる作品なんです。
エミは友人に誘われてクラブへと遊びに行きました。
大きな音が流れるクラブで、どうしていいか分からず、ナンパにも戸惑うしかできません。
友達も見つけられず、ウロウロしていたエミをケイが助けてくれます。
「クラブでの遊び方が分からない」と苦笑するエミと、彼女にアドバイスをしながらクラブを楽しむケイ。
対照的に見える二人を通して、読者もクラブカルチャーを覗きこむことができます。
私が一番「ああ、社会人百合だな」と感じたのは、二人の関係性の進み方が早いところ!
第一話で出会ったばかりの二人ですが、その日のうちにベッドインするとは思いませんでした。。
これも学生百合だと絶対ない展開です。
くっつくまでが学生百合の醍醐味だとしたら、くっついてからが社会人百合のお楽しみ。
そのせいか普通の学生百合より、大人の恋愛漫画として共感できる部分が多いです。
大人の自由な雰囲気を全編通して感じられます。
甘いところも、ビターなところも盛りだくさん入っています!
クラブカルチャーを扱うせいか、まるで映画のワンシーンのような場面が続きます。
大人になると中々味わえない変化を、ケイと一緒に乗り越えていくエミの姿に感動です。
少しずつでも、確実に変わっていく、成長してくエミに、代わり映えしない毎日を送っていく私達の心は揺さぶられます。
ある程度の年令になると、毎日ってほんと味気なくなります。
それを吹き飛ばしてくれるような作品が『アフターアワーズ』なのです!
7.明るい記憶喪失
『明るい記憶喪失』ほど、まったく逆の単語を組み合わせた作品はないんじゃないでしょうか。
「記憶喪失なのに明るい?」と誰もが疑問を抱くタイトルです。しかも、このタイトルが少しも間違っていません。
奥たまむし先生の描く『明るい記憶喪失』は、記憶喪失なのに明るく生きているアリサと彼女の恋人であるマリが主人公になります。
そもそもこのお話、アリサが記憶喪失な状態で始まります。
最初から記憶喪失です。
記憶喪失になったアリサの目が覚めるのをマリが側で見つめます。
マリとしては心配がたくさんあるわけです。なんと言っても、アリサはマリと出会う前まで記憶をなくしています。
アリサにとっては初対面の状態なわけです。「女同士でつきあっている」ことをどう説明しようか悩むマリの姿は常識人そのものです。
マリのそんな悩みを開始数コマで吹き飛ばしてしまうのが、この作品です。
アリサが目を覚まして数コマで、すべては杞憂だったこと、この作品がシリアスではなくコメディであることを知らしめます!
だってねぇ、アリサ、マリを見た瞬間に一目惚れしちゃうんですよ。
もう反応があからさますぎて、読者を始め、不安がっていたマリさえ、「あ、この人、私のこと好きだな」と理解してしまうレベルです。
アリサが一目惚れする気持ちもわかります。マリはショートでキツめの美人さんとして描かれています。
実際の付き合うキッカケもアリサからのアタックだったので、元々大好きな顔だったのでしょう。そりゃ、起きてすぐに自分好みのお姉さんがいたら嬉しくなりますよね。
その上「恋人だった」と言われれば、アリサのように舞い上がるのも当然かもしれません。
『明るい記憶喪失』のスゴイところは、本当に何もかも突き抜けて明るい所にあります。
百合ってどうしても暗さがつきまとっちゃいます。女同士で付き合う葛藤とか、世間の目を気にするとか王道です。
そこをアリサはすべて自力で突破しております。
とにかく「自分好みの人と付き合えている」という嬉しさを全身で受け止めています。
彼女を見ていると、なんでも自分の受け止め方次第なんだなと納得せざるを得ません。
さらに嬉しいことに、載っている話がすべて甘い!
明るいがテーマだからか、記憶をなくしてもマリのことを大好きなアリサの奮闘ぶり(イチャイチャ)が満ち溢れています。
同棲している部屋に戻ってから、次々と明かされる衝撃の事実は百合好きの意表をついてくれますよ。
明るくて萌える社会人百合を読みたい時にぴったりの作品です。
8.同棲生活
「かわいい彼女と同棲できたらなぁ」そんな想いが作品になった『同棲生活』
タイトルそのまんま、社会人女性二人の同棲生活がぎゅっと詰め込まれております。
同居ものも社会人百合も増えたけれど、はっきりと恋人同士で同棲している作品は、まだ数が少ないです。
彼女たちの甘くて、時に心の奥がぎゅっとなるお話を存分に楽しみましょう。
登場するのは二人だけです。
年上の「みゆさん」と年下の「ゆうちゃん」。
二人共社会人として働いております。みゆさんは在宅ワーカーで、ゆうちゃんは会社員です。
話の舞台になるのは、大抵二人が一緒に暮らしている部屋になります。一緒に家事を分けあったり、買い物にいったり、ゴミ出ししたり、描いてあるのは普通の生活に他なりません。
その「普通の生活」が百合業界には、まだまだ足りていません!
「好きな人と同棲したらこうなるのかぁ」と夢を見させてくれる作品がもっとあっても良いと思います。
同居ものはだいぶ増えたのに、なぜ同棲と言い切ってくれないのか。議論したいところではありますが、今回は保留します。
みゆさんとゆうちゃんの生活を覗いている気分になれる作品です。
会社で落ち込んでいる時に、みゆさんがどうやってゆうちゃんを励ますのか。
みゆさんが仕事に追われている時、ゆうちゃんはどうやって助けるのか。
何より普通の生活で、どうやってイチャイチャして過ごすのか。
答えはすべてこの一冊に詰まっています。
社会人になったからこそ憧れる生活や、社会人だからこそ共感できるポイントがぎゅっと濃縮されています!
日常生活の癒やしにどうぞ。
9.親がうるさいので後輩(♀)と偽装結婚してみた。
『親がうるさいので後輩(♀)と偽装結婚してみた。』
このタイトルに釣られない社会人百合好きがいます?! いないと私は断言できますね。
「捏造トラップ」で話題になったコダマナオコ先生が描いている作品だけあって、女の子の可愛いところと面倒くさいところを、ぎゅっと濃縮した作品になっています。
1巻できっちり完結しているのが、また嬉しい! 加えて、短編とその後が収録されていて非常に楽しめる一冊になっています。
昔よりうるさくなくなったものの、今の時代もある程度年をとると「結婚しろ」と親が口うるさくなるもの。
森本も親から縁談を次々に持ってられて、困っている女性の一人です。
昔から過剰なほど親から束縛されてきた森本は、誰かと一緒にいることが苦手でした。
人と一緒にいると息が苦しく感じてしまうほどというのだから、よっぽどです。
そのため結婚(誰かと一緒に暮らす)なんて考えたこともない森本は、どうすれば親からの縁談を止められるのか考える日々を過ごします。
そこに助け舟を出したのが、大学の後輩である阿ヶ谷でした。
「私と同性婚しちゃえば、ご両親も諦めてくれるんじゃないですか?」と言う口車に乗ってしまった森本は、なぜか阿ヶ谷でと同性婚をすることに。
一緒に暮らすのが苦手だったはずなのに、阿ヶ谷に流されて同棲まで始めちゃいます。
しかも、阿ヶ谷は大学生時代、告白してきた相手でした。
二人の関係は偽装結婚のままなのか、どうなのか。
キュンキュンしながら読めちゃう社会人百合です。
コダマナオコ先生は1巻で完結している作品でも、きちんとしたストーリーが丁寧に描かれています!
今回は同性婚という、ある意味ホットな話題を扱っています。そこに「女の子の可愛くて面倒くさい部分」を絡ませたのが、今回の『親がうるさいので後輩(♀)と偽装結婚してみた。』です。
森本は仕事一筋で、彼氏がいたことがあっても、彼氏を優先したことはない人間でした。
後輩である阿ヶ谷はそんな森本のことをよく知っています。
今回、助け船を出したのも、「好きな人と嘘でも同棲できる」という思惑があるからでした。
親から逃げるために偽装結婚をした森本。
下心ありで偽装結婚を仕向けた阿ヶ谷。
すれ違っているはずだった二人の関係が、同棲を始めることで変わり始めます。
特に無意識に阿ヶ谷を好きになってきている森本先輩が好きですねぇ。
無意識に嫉妬するし、世話も焼くし、阿ヶ谷が潰れてたら迎えに行くし。
「それ好きだから!」と突っ込みたくなる行動が多くて、ニヤニヤできます。
後輩である阿ヶ谷も、森本のことを大学時代から好きなのに、鈍いのが面白い。
絶対に好きになってくれるわけがないという思い込みが大きいんでしょう。
森本のわかりやすい行動にも気づかないまま、家を出ていこうとまでします。
他にも元カノが出てきたりと、恋愛漫画の美味しいところが1冊にぎゅっと詰まった作品です!
『親がうるさいので後輩(♀)と偽装結婚してみた。』を購入する
10.Still Sick
pixivで連載されていた百合漫画が、商業作品になるなんて!
この頃、百合に困らなくて嬉しい日々を送っています。
『Still Sick』は百合好きに寄り添った作品です。
主人公である清水は、普通のOLとして働きつつ、百合作品を同人誌として発表しています。
今までオタク仲間にも受け入れられなかった「百合趣味」をひた隠しにしながら同人活動に励む日々。
……もう、この時点で共感度大ですよ。BLと違って、百合がジャンルとして認識され始めたのは最近のことです。
それまではオタク仲間に言っても理解されないことの方が多かったですからね!
作者である灯先生も、きっと似たような体験をしたに違いありません。
さて、清水が同人誌を売っている会場に、何故か現れたのが後輩の前川でした。
百合のことなど何も知らない彼女は、清水の作品を手にとります。
今までひた隠しにしていた同人活動がばれてしまった清水は大慌てです。
とにかくバラさないように前川に言いますが、彼女は暖簾に腕押し状態で、あまり話を聞いてくれません。
その割に、作品について感想を言ってくれたりするのが不思議ですね。
清水も、今まで理解してくれる人がいなかったので、バレてしまった関係とはいえ前川が興味を示すと嬉しそうです。
ここから二人の距離が徐々に縮まっていく……と思った人、油断してはいけません。
『Still Sick』が面白いのは、ここからです!
なんと、前川は漫画家として働いていました。
素人に見せかけておきながら、実はプロの人だったのです。
同人として描くことを楽しんでいる清水と、描くことが楽しくなくなってしまった前川。
この二人のじれったい距離感がたまらない作品になっています。
pixivでは完結していたお話だったのですが、商業作品になって内容が大幅に改変されています。
中身も濃くなり、さらに連載が続いているのも嬉しい部分です。
素直で人当たりの良い性格と見せかけて、かなりひねくれている前川。
百合趣味を隠しながら、それでも好きなものには一直線の清水。
この二人がどうなっていくか、確認してください!
まとめ
おすすめ『社会人百合漫画10選』の紹介でした。
連載中から、完結している作品まで紹介させていただきました。
社会人百合は学生百合に比べて、まだ本数が多くありません。連載中の作品が多めになりました。
しかしながら、普通の社会人同士の百合から、エキセントリックな設定の百合まで多種多様な広がりを見せています。
百合好きを表に出せる時代になり、それぞれの好みの百合や、立場が反映された作品が多くなったのではないでしょうか。
同居や同棲しているお話が多いのも面白いところ。
女性同士が支え合って行われる生活を見てみるのも楽しいですね!
ここまで読んでくださりありがとうございました。